倉庫業の登録で最も多いつまずきは、「借りた物件では登録できない」というものです。倉庫業の登録では、建物が法令に適合していることに加え、倉庫の種類ごとに定められた施設設備の基準を満たす必要があります。この記事では、物件を契約する前に確認しておきたいポイントと、倉庫ごとに置く倉庫管理主任者の要件を整理します。

確認1:用途地域

建築基準法では、「倉庫業を営む倉庫」を建てられる用途地域が決まっています。住居系の用途地域の多くでは建てられず、準住居地域、商業系・工業系の地域が中心になります。また、市街化調整区域の物件は、都市計画法の制限により登録が難しいことがあります。物件の所在地の用途地域を、まず最初に確認しましょう。

確認2:建築確認上の用途

見落とされやすいのが、建築確認上の用途です。建築基準法では、自社の物を置く「倉庫(自家用)」と、他人の物を預かる「倉庫業を営む倉庫」を区別しています。自家用倉庫や工場として建てられた建物を倉庫業に使う場合は、用途変更の手続きが必要になることがあります。

また、登録の申請では、建物が法令に適合していることを示すために、検査済証などの書類が必要になります。古い建物で検査済証がない場合は、登録のハードルが大きく上がります。契約の前に、貸主や売主に建築確認の書類があるかを確認してください。

確認3:施設設備の基準

倉庫の種類ごとに、次のような施設設備の基準が定められています。最も広く使われる1類倉庫では、特に基準が厳しくなります。

  • 床の強度(一定の荷重に耐えられること)
  • 壁・床・屋根の防水、防湿の性能
  • 耐火構造や防火構造などの火災への備えと、消火器などの設備
  • 照明や施錠などの防犯の措置
  • ねずみなどの害を防ぐ措置

これらの基準を満たしていることは、図面や計算書、写真などで示す必要があります。床の強度のように、建物の設計段階の資料がないと証明が難しい項目もあるため、契約の前に資料の有無を確認しておくと安心です。

倉庫管理主任者の選任

倉庫業者は、倉庫ごとに倉庫管理主任者を選任しなければなりません。倉庫管理主任者は、倉庫の保管業務や火災防止、安全管理などを担う責任者です。主な要件は、次のいずれかを満たすことです。

  • 倉庫の管理業務に一定年数以上従事した経験がある
  • 倉庫の実務に一定年数以上従事した経験がある
  • 国土交通大臣が定める講習を修了している

経験者がいない場合でも、講習を修了すれば要件を満たせます。講習の日程は限られているため、開業の時期から逆算して受講を計画しましょう。

契約前のチェックリスト

  1. 用途地域と区域区分(市街化調整区域でないか)
  2. 建築確認上の用途と、検査済証の有無
  3. 保管する物品に合った倉庫の種類と、その施設設備基準
  4. 基準を証明する図面や資料がそろうか
  5. 倉庫管理主任者の候補者と要件

まとめ

倉庫業の登録は、物件の条件で大部分が決まる登録です。用途地域、建築確認上の用途、施設設備の基準の3点を契約の前に確認し、あわせて倉庫管理主任者の準備を進めておくことが大切です。行政書士法人SUNでは、候補物件の図面や書類をもとに、登録できるかどうかの確認からお手伝いしています。

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